こすにこされぬおおいがわ、みっかもつづいたあめはやんだが、まだまだかわはわたれない。
おおにぎわいの、ろてんいち。ぷらぷらひやかしめぐっていると、みしったかおにでくわした。
おうよにきち、ひさしぶり。にやっとわらったそのかおは、いつかのとうぞくとちのみこぞう。

きょうのにきちはかぜっぴき。すぐにくしゃみをはーっくしょん。
こいつはたまらん、うつされちまう、とちのみぴゅーっとにげだした。

そのときあがったさけびごえ。
たいへんさいふをとられちまった。みんないそいでふところさぐり、あちらこちらできこえるひめい。
にきちにこももにあさたろう。みんなすられてすっからかん。

まさかとちのみ、あいつのしわざか。
あにき、まってくださいよ。なかまのさいふにてをつける、そんなやつじゃあねえはずだ。

なぞはふかまるしまだじゅく。
はたして、すりのはんにんは。

ぐみかんざしのおきよ
さつまいもの屁次郎　

とちのみこぞう

水沢史絵
うえだゆうじ

古川登志夫