かいどうひびくまごうたに、ちょいとみみをすましてみると、あずきのかおしたおとこのこ。
つれたうまのたろうとふたり、のんびりあるく、しごとみち。

ちゃみせのばあさんかたるには、あれはあずきのしんきちだ、とおさんかあさんはやくになくし、まじめにはたらくけなげなこ。あいぼう、たろうもいいうまだけど、ひとつくせがあってねえ。おしっこのりょうがすごいんだ。

ちょうどたろうがぶるぶると、からだふるわせ、もよおした。
ざんぶととびだすおしっこが、かいどうすじにながれだす。
ひっしでにげるあさたろう。

ところがちょうどそのときに、いやなさむらい、しょうがなしのすけ、みちをひとりであるいてた。
おしっこかかった、なしのすけ。
これはこれはぶれいであると、かたなをぬいて、わめきだす。

なんとかゆるしてくださいと、あやまりつづけるしんきちに、ひとつひらめくなしのすけ。
それではおおだこしょうぶをしろい、もしもせっしゃがかったなら、たこあげめいじん、おまえのおじさん、にどとしあいにでてはならん。

しょうがないやつ、なしのすけ。あさたろうもまきこんで、おおだこがっせん、かけがわしゅく。

あずきのしんきち
しょうがなしのすけ
あずきのもへい

山口勝平
二又一成
塩屋浩三