ストーリー
その妖怪はどこからともなく現れて人間に化けると、奇妙な反物を売りさばき始めた。不審に思って後をつけたネコ娘は、山奥で恐ろしい光景を目撃する。謎の妖怪は見たことのない術を使い、捕らえていたぬりかべを反物に変えてしまったのだ。彼の売りさばいていた反物は、一つ残らず妖怪たちの変わり果てた姿だった！ 反物を売っていたのは、どうやら中国最強の妖怪・チーらしい。かつて殺生石に封印された姉の敵を討ち、日本を征服しようと大勢の手下を引き連れて海を渡ってきたのだ。ネコ娘の報告を受けた鬼太郎たちは、恐ろしい野望を砕くためにチーの本拠地である妖怪城に乗り込むことを決意する。だが、チーはいち早く攻撃を察知し、万全の態勢を取って待ち構えていた。鬼太郎は懸命に闘うものの、チーの妖気に動きを封じられ、ぬりかべ同様に反物に変えられてしまう。大黒柱まで失ったうえに敗れ去ってしまった日本妖怪たちの運命は…？
解説
劇場公開された「ゲゲゲの鬼太郎（第3作）」の中で、キャラクター、ストーリーともに最も原作に忠実に作られた作品。過去にテレビに登場した妖怪たちが総出演するのが見せ場で、とくに日本妖怪対中国妖怪の攻防シーンでは、芹川有吾監督が見事な演出術を駆使して各妖怪の個性を生き生きと打ち出している。人間と妖怪の共存というテーマも明確に描かれ、子供向けアニメの枠を超えた興奮と感動を観る者に与える作品に仕上がっている。