結局、松太郎はすぐに母校を後にし、家へと帰ってきてしまった。何か食う物がないか、棚を漁る松太郎。と、そこで一冊のスクラップ帳を発見した。それは、新聞に載った松太郎の記事を集めた物であった。それを見て、松太郎は呆れる。俺の事なんて放っておけばいいのに…。故郷へ帰ってきてからというもの、皆が口々に、松太郎は変わったと言う。それが何とも気持ち悪い。変わったのは、むしろ周囲の方ではないのか。…もう、帰ろう。荷物をまとめ、家を出る松太郎。考えてみれば、ここには西尾も田中も令子もいない。面白い事など何もないのだから…。松太郎は母の職場へ寄って一声だけかけ、そのまま町へ向かうバスへと乗ってしまうのだった。